次の日、ぼくは木の枝をはじめてじっと見てみた。
よく見ると、枝の先の部分がぼこぼこしている。

これは・・・

そうか、これはきっと芽なんだ!
こんなに寒いのに、桜並木はもう芽の準備をしていたのか!

木は、必ずまた春が来ることを知っているんだ。
だから寒い冬は、あたたかい土の中で根を伸ばして、芽を出す力をたくわえているんだ。
でも、それは外からは見えない。
だから枯れてるみたいに見えるんだ。

おやかたの言ったとおり、木はぼくよりずっとかしこかった。

「な、見た目だけじゃねえんだよ。」
と、おやかたはまたぼくに言った。



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