「いい季節になってきやがったなあ。」
うろこ雲を見ながら、おやかたはほくほく顔だ。
桜並木の緑はどんどん薄れていき、黄色い葉がまざったかと思うと、赤に色を変えていった。
ぼくは毎日見ていたのに、いったいいつから緑の桜並木が赤になったのか、
気がつくことができなかった。
「さあな。自然に変わるんだろ。
自然に変わるから自然なんだろ。」
おやかたはそう言っていたけど、ぼくは不思議だった。
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