「だって、意地悪をしようとしたのは向こうのほうよ!」

「ええ、そうよ。
でも、お前までが意地悪になることはないと思うの。」

「インチキ写真屋なんて言われちゃ、許せないわ。」

「言いたい人には言わせればいいの。
私たちさえ、インチキをしなければいいんだわ。

これからも、いろいろ意地悪をされたり、
悪口を言われたりするかもしれないわ。
でも、私たちは決して
人に意地悪をしたり悪口を言ったりすることはやめましょう。」

「ええ、それは・・・。でもっ・・・。」

「人には、優しくしましょう。
そうすれば、人からも優しくされるわ。
人から愛されるには、人を愛さなくては。
お母さん、お前が誰からも好かれるような娘になってもらいたいのよ。
お前の賢さと強さを、
そういう人間になるために使ってほしいの。」

「お母さん・・・。」


(ペリーヌ物語 第10話「写真機どろぼう」より)



ずるい手を使ってペリーヌたちの邪魔をしてくる商売敵が現れて、行く先々で意地悪をされます。
しかし写真の実力はペリーヌたちのほうが断然上、ペリーヌは意地悪な写真屋を見事にやっつけました。
そんなペリーヌに、お母さんは「とても心配なのよ・・」と言います。
それは怒るでもなく、注意するでもなく、優しく諭すような語り口でした。

このシーン、「でもっ・・・」と珍しく何度もお母さんに言い返すペリーヌの気持ちが、本当に良く分かります。
名作劇場を見ていてこういうセリフに出会うといつも、ペリーヌと同じ気持ちになります。
そしてでも、やっぱり最後には「お母さん・・・」と思ってしまうんですよねえ・・・・。(^^;
疑い、反発しつつも、心のどこか深いところに引っかかる・・・そういうセリフなんだと思います。

意地悪をされても悪口を言われても我慢することが優しさだと、お母さんは言っているのではないと思います。
「お前までが、意地悪になることはないと思うの」
「私たちさえ、インチキをしなければいいんだわ」
というセリフは、ペリーヌと私たちの心にだんだんと響きます。

「お母さんはお前が強くて優しい子だっていうことはよく分かっている。
だからその素質と力を、意地悪に返すよりも、もっともっと素晴らしいことに使って欲しい」
と、お母さんは願っています。
「いい人達に囲まれて愛されているから、人にも優しくできるのだ」と、とかく思ってしまうものです。
でも、そういう気持ちでいては、人からの優しさは受けられないのだと、お母さんは知っているのです。

人から愛されるには、自分が人を愛さなくては・・・というこのセリフは、
そのままお母さんの「最後の言葉」にもなりました。

独りぼっちになったペリーヌが、たくさんの人に支えられて元気に生きていけるように、
お母さんは大切な言葉を残していったのだと思います。





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