「おれ、パーティーなんか行かないよ。」

「どうしてさ?」

「おれ、百姓のせがれだからな。
あんな都会から来たうちのパーティーなんか、出かけて行っても、
みんなの笑い者になるだけさ。だからおれ・・・」

「おだまり、オスカー。
お前自分の心にうそをついているね。母さんそんな子供は大っきらいだよ。

この世の中に、貧しい百姓の息子だからって
やっちゃいけないことなんかないよ、オスカー。
神様はそんなふうに不公平に人間をお作りになるはずがないってことぐらい、
お前学校で習って知ってるだろう。

思い出すわ・・・。母さんが生まれてはじめて行ったパーティーのことを。
それは本当に楽しいパーティーだった。

オスカー、行きなさい。
たとえお前が何か失敗をしでかしたとしても、
いつかきっとそれは楽しい思い出になるのよ。」


(あらいぐまラスカル 第16話「楽しいパーティーの夜」より)


オスカーのお父さんは、頑固でちょっと怖い感じのする人でした。
いつもはお父さんの言うことに従うオスカーのお母さんが、珍しく強い口調で意見を言います。
「百姓のせがれがパーティーに行っても恥をかくだけ」というお父さんの言葉のうけうりで、
パーティーに行きたい気持ちにうそをつくオスカー。お母さんはそんなオスカーの気持ちを見抜きます。

人間が平等なのかどうか、それはよく分かりません。
でも、たとえ様々な条件の違いからハンデを負ったり、人生の楽しみを制限されて
「できない」ことがたくさんあったとしても、「やってはいけないこと」はないのだと、私も思います。
オスカーのお母さんに拍手です。





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